家族が抱える介護ストレスとは
家族が抱える介護ストレスとしてまず挙げられるのが、身体的な負担です。介護をする高齢者の状態によって変わりますが、例えば要介護5の場合は食事や衣類の着脱、排せつ、入浴、たん吸引などの生活に関わるあらゆる場面で介護が必要になります。そのため、休息の時間を取ることができません。また、身体介助は腰やひざ、腕などに大きな負担がかかります。
また、経済的な負担も大きくなります。介護を実施するためには様々な費用が発生します。在宅介護の場合は、介護食品や紙おむつの購入費がかかるでしょう。介護の時間を確保するために労働時間を調整し、それが収入減につながるケースも少なくありません。介護を受ける高齢者の年金や家族の貯蓄から費用を捻出することになれば、金銭面の不安は大きくなる一方です。
精神的な負担についても考えなければなりません。在宅介護の場合、常に介護のことが頭にある状態となります。外出する機会も減り、ストレスは大きくなっていきます。自分のための時間が減ってしまい、不満が募る一方です。さらに、認知症やうつ病などの症状がある高齢者の場合は、常に目が離せなくなります。意思の疎通も難しく、対応する家族の精神的な負担は非常に大きくなります。
介護ストレスが大きくなる原因
家族が介護ストレスを溜め込んでしまう原因としてまず挙げられるのが、自分だけで頑張ってしまう点です。親や配偶者の介護が必要になった際、「身近な存在である自分が何とかしなければならない」と思い込んでしまう人が多い傾向にあります。また、身近に相談できる人がおらず、結果的に自分1人で抱え込んでしまうケースも少なくありません。
介護について、職場に相談しづらいと感じている人も多いようです。厚生労働省の調査によると、「職場に対して介護について相談しやすいと思わない」と感じている人が45%もいることが分かっています。本来であれば、介護を行うにあたって職場に対しては早めに相談し、仕事の調整や支援制度の利用が必要になります。それができず、結果的に介護離職をせざるを得ない状況に陥るケースも少なくないようです。
介護負担を減らす方法を知らない人が多いことも、課題の1つとして挙げられます。いざ介護が必要になった時、具体的にどうすればいいか分からず、介護保険サービスや自治体のサービスを上手に活用することができない人がいます。本来受けるべき支援を受けられていないのであれば、当然ながら介護ストレスは大きくなっていきます。
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